温暖化で勢いを増すシロアリ

シロアリは世界に2000種類以上いると言われており、家屋に害を与えるシロアリは4%程度です。シロアリはゴキブリの仲間に分類され、クロアリはハチの仲間です。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は image-13.png です

国内で木造住宅に被害を与えているのが、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリ、カンモンシロアリです。

ヤマシトロアリ

ヤマトシロアリは、寒さに強く、北海道北部を除く日本全国に生息しています。濡れた材を好み、被害件数はイエシロアリに比べても圧倒的に多く、加害部に数千~数万頭の巣を作ります。

成熟した巣は、数万頭から50万頭規模になります。湿気を好み、被害は普及と同時に進行することが多く、食害部分をそのまま巣にすることが多いです。兵蟻の頭は楕円の筒状で大きく、頭で巣穴を塞いで外敵の侵入を阻みます。活動範囲は比較的狭いが、被害が住宅の2階、3階に及ぶこともあります。

羽アリは、黒褐色で体長が4.5~7.5㎜程度になり、4月~5月(沖縄は1~2ヶ月早く、東北は遅い)の晴れた日の日中に飛びます(群飛)。

ヤマトシロアリの兵蟻と職蟻

ヤマトシロアリの羽アリ

イエシロアリ

イエシロアリは寒さに弱く、関東以西以南に生息しますが、温暖化や住宅の高断熱化で前線が北上しています。乾いた材でも濡らしながら食害していきます。

成熟した巣は100万頭規模になります。非常に活発で、一つの巣の活動範囲は100mに達することがあります。1日で20㎝の蟻道を構築することもあり、シロアリの中で最も家屋への加害力が強いとされます。地中や建物に加工した塊状の大きな巣を形成し、そこから広範囲に渡って餌を求めます。

兵蟻の頭は丸く攻撃的で、羽アリは黄褐色で体長が7~9㎜、関東では6月~7月の夕方に飛びます。(群飛)

羽アリは外灯や灯りが点いた窓を目がけて、100mくらい滑空することもあるようです。

イエシロアリの兵蟻と職蟻

イエシロアリの女王、王

カンモンシロアリ

ヤマトシロアリと姿形や生態がよく似ていますが、ヤマトシロアリより若干乾燥環境に強いと言われています。また、2月下旬~4月上旬に群飛をするので、その点が異なります。生息地域は山口県が中心で、被害箇所は床下だけでなく、高い場所にも食害が及びます。被害箇所が高い場所まで達しているかどうかもヤマトシロアリとの判別材料になります。

◆アメリカカンザイシロアリ

国内で急速に被害が広がっている外来種のシロアリです。

水分を必要とせず、羽アリが乾燥した木材に穴を開けて入り込みます。

元々は、国内にいなかったシロアリですが、輸入木材や輸入家具などに潜んで運び込まれたと言われています。

羽アリの体長は6~8㎜ですが、兵蟻の体長は8~11㎜になります。

羽アリは7月から9月の昼間に飛び立ちますが、同じ建物内の他の木部の部分に新たな巣を作ることもあります。また、近隣に群飛し、被害を徐々に拡大していきます。

一つの巣には、数百から最大で数千頭規模です。少数で活動するため食害のスピードが遅く、被害が発見が遅れることが多いです。発見の手掛かりとなるのが、六角形の俵状の形をした糞です。数年かけて木材を食害し、食害部の穴から外に糞を落とす性質があり、一件の住宅から数十か所の巣が見つかった例もあります。

アメリカカンザイシロアリは、乾いた木材を加害するため、住宅の小屋裏、天井、壁内などの木材に直接侵入し被害を与えるため従来の基礎天端から1m部分への防蟻処理では十分な予防になりません。

そこでアメリカカンザイシロアリの予防対策として注目を集めているのがホウ酸塩です。

新築の場合であれば、全ての木材にホウ酸塩を塗布することで、アメリカカンザイシロアリの侵入を阻止することが出来ます。

アメリカカンザイシロアリの兵蟻と職蟻

食害部から落ちるアメリカカンザイシロアリの糞

ダイコクシロアリ

カンザイシロアリの仲間で、奄美大島以南の南西諸島と小笠原諸島に生息しています。羽アリの羽は無色透明で体長は5~6㎜位です。木材に穴を開けて少数で生息しています。