安心安全なホウ酸塩で住まいを守る

アメリカでもシロアリの食害を受けたときは駆除剤を使い、シロアリが屋内に入るのを阻止するために土壌処理剤を使いますが、人やペットが住む屋内に合成殺虫剤は使いません。

まだ、シロアリや木材腐朽菌が入り込んでいない段階で合成殺虫剤を使う理由が無いからですが、シロアリなどを驚異に感じていることは事実ですので、人やペットに害を与えないホウ酸塩で住まい全体を守ろうという思想が広がっているといってもいいでしょう。

ホウ酸とは

ホウ酸は天然物であるホウ酸塩鉱物を精製して作られたものです。

ホウ素系防腐防蟻剤の多くは、DOT(8ホウ酸2ナトリウム4水和物)を主原料にしています。これはホウ素含有量が高く木材保存に適したホウ酸塩だからです。

私たちが日常生活でよく目にする、目薬、コンタクトレンズの保存液、骨粗鬆症予防のサプリメントにもホウ酸は含まれており、安全性が高いと言えます。

ヨーロッパでは化学防腐剤が禁止されていますが、ホウ酸はキャビアの防腐剤としても認められ使われています。

1700年代に制作されたストラディバリウス(バイオリン)は未だに音色の透明さ、劣化しない材料が賞賛を集めていますが、これもホウ酸の効能だと言われております。

米国カルフォルニア州 ホウ酸採掘現場

ホウ酸塩鉱石

ホウ酸塩鉱石を粉状に加工し、水溶液化する

◆ホウ酸の効能

ホウ酸は、様々な分野で使われ、様々な効能が評価されております。

物を燃えにくくする効果があり、カビ菌の予防の効果もあります。

ホウ酸塩と聞くと、金属を錆びさせるのではないかと思われるかも知れませんが、ホウ酸塩の塩は塩化ナトリウムではありませんので錆びさせません。寧ろ、金属を錆びにくくする効能があります。

JAS(日本農林規格)では、ホウ酸をキクイムシ対策の薬剤に指定しております。

ホウ酸がシロアリと木材腐朽菌に効くメカニズム

私たちは毎日、野菜や果物から微量のホウ酸を採取しておりますが、体内に溜まり続けるということはありません。余分なホウ酸は腎臓が尿と一緒に体外に放出してしまいます。

しかし腎臓を持たない下等生物(シロアリ等)は、体内にホウ酸が溜まり続け、体内の共棲生物を死滅させ、エネルギーを作ることができなくなり、死んでしまいます。

これは細胞レベルの話なので耐性が出来ることはなく、犬やネコにも安心です。

木材腐朽菌やカビ菌などの菌類に対しても有効です。菌がホウ酸に触れると細胞壁を通して細胞内に入り、一定量の濃度を超えるとこちらもエネルギーを作れなくします。

ホウ酸と濃度

室内試験や野外試験をクリアしているエコボロンのホウ酸濃度は18%です。(15%×ホウ酸換算1.2=18%)

「15%だから濃度が低い」と批判する業者もいるようですが、濃度の高低が問題ではなく、性能を裏付ける試験データが揃っているかどうかが大切です。

建築現場で、ホウ酸の粉をお湯に溶かして、「ウチのは濃度が高い、濃い」と言われても、本当にしっかり溶かして使ってくれているのか、木材に浸透しているのか、という重要な点が実証されていないことが、お客様の立場から考えると疑問です。

重要となる、木材への浸透率や定着率の数値ですが、常温で、全ての数値を安定させるには15%が限界と聞いています。濃度を高くした場合、未溶解のホウ酸を抱え込み、見掛けはお湯に溶けているように見えるホウ酸が塗布面に浸透せずに残ってしまい、白華(建築材料の表面部分に浮き出る白い生成物のこと)状態になることがあります。

白華状態が起こるということは、ホウ酸が十分に木材に浸透していないことを証明しており、防腐防蟻性が十分に確保されているかどうか疑問です。